若手には恩恵、報われない就職氷河期世代…これが「大幅賃上げ」の表と裏だ
6日に発表された6月の毎月勤労統計調査によると、名目賃金を示す1人当たりの現金給与総額はプラス4.5%と、消費者物価指数のプラス3.3%を上回り、2年6カ月連続の増加で推移している。
物価上昇とともに、さまざまな企業で賃金アップが報じられているが、恩恵を受けているのは主に若手社員だという。
「平均賃上げ率は5~6%ほどですが、全世代が一律に上がっているわけではありません。33年ぶりの大幅賃上げと言われていますが、若年層の人材確保や離職防止を目的として若手の賃金を手厚くする一方で、そのしわ寄せは既存社員に来ていて、上に行くほど賃上げされていません。特にポジション的に苦しいのが、40代前半~50代前半の就職氷河期世代と言われる人たちです」(人事ジャーナリスト・溝上憲文氏)
バブル崩壊後の1993年から2005年にかけて社会人になった就職氷河期世代は、新卒で正社員になれなかった人が多く、進学も就職もしなかった人を指す学卒無業者が、00年度は大卒者の22.5%を占めた。就職できたとしても非正規採用が多く、高学歴ワーキングプアという言葉が聞かれ始めたのもこの頃からだ。