熊本県知事の「一般事務とかいらない」が物議…失言する人の思考パターンを精神科医が分析

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客観的理解力をもろ刃の剣にする優勝劣敗思考

 もうひとつは、いろいろな対象の位置づけを客観的に理解する力に優れているタイプだ。決して悪くない能力だが、どういうことか。吉竹氏が続ける。

「このタイプは、話を聞きながらすぐに長所や短所を見抜くことができます。それを適材適所の人材配置などに応用すれば、組織運営はうまくいくでしょうから、客観的な理解力の高さはプラスの要素です。しかし、それがマイナスにも働くことがあるのは、その人に優勝劣敗的な思考が強いケース。この2つが重なると、あらゆることを勝ち負けで判断するようになるので、ちょっとしたときにトラブルになる失言をするのです」

 これは川勝前知事が当てはまるという。辞職のキッカケになった“職業差別的失言”の背景には、確かに吉竹氏が指摘するような思考の偏りが垣間見える。

「優勝劣敗思考が強い人は、学校や会社、部署などの上下関係をとにかく気にして、そのよしあしでマウントを取ろうとします。常識的な大人の社会で、あからさまなマウンティングを目にすることは少ないでしょうが、言葉の端々にそういう上下関係を忍ばせているような人は要注意です」(吉竹氏)

 吉竹氏の解説によると、失言傾向のある人が一般社会にも確実に潜んでいることが分かる。そんな要素を潜在的に備えていると、SNSでの大炎上も起こしかねないだろう。ふり返れば、フワちゃんの投稿にも、マウンティングな内容がうかがえる。ただし、SNSの失言は防ぐことができるという。前出の井上氏が言う。

「SNSは、一人が複数のアカウントを使い分けることが当たり前になっていて、多くの人とつながる表のアカウントに対して、非公開で特定の人とのみつながるアカウントは“裏垢”と呼ばれます。その“裏垢”で横行しているのが、だれかのグチなど不平不満です。本当は“裏垢”に投稿すべきグチを、表のアカウントに投稿すると、“誤爆”による失言で大炎上します。そうなると、まったく知らない人にあら探しされ、氏名や住所、家族構成、職場などあらゆる個人情報が特定されるリスクをはらむ。リアル会話の失言以上に代償が重いのです。表と裏の使い分けで“誤爆失言”を防ぐのではなく、そもそもグチをSNSはじめネットに上げないこと。グチは家族や友人などとリアルの会話で、を徹底することです」

 危ないSNSアカウントは、早いうちに手じまいしよう。  

  ◇  ◇  ◇

 平均寿命は男女とも80歳を超え、高齢化が進む中、デジタル力が健康や資産、人間関係などいずれの点においても、左右するという。正しいスキルを身に着けるためには、どうする? ●関連記事『【もっと読む】高齢者の生活度を左右する「デジタル適応力」…最新調査結果を原田曜平氏が分析』で詳しく解説する。

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