分煙社会構築への模索(下)観光客1584万人が訪れる札幌で進む再開発とたばこ事情
店舗の外には灰皿が置かれていて利用者は1日数百人に上る。店の経営者が喫煙環境整備についてこう語ってくれた。
「嗜好品を販売している側からすれば、売って終わりではなく、お客さんにどういうふうに楽しんでいただけるかということを常に考えています。さまざまな商品の情報をお伝えすると同時に、販売店として吸える場所を用意し、同時に周辺の喫煙場所情報、ルールもお伝えすることが必要だと思います。また、札幌という街をより魅力的にするためにも、行政は喫煙者に対して納めている税金に見合った還元をしていって欲しいと思いますね」
■札幌駅からススキノまでの一帯が喫煙制限区域
取材中、宿泊したホテルには台湾などからの団体客が滞在し、インバウンド完全復活を実感した。フロント近くに喫煙所があったのだが、数人は路上に出て、通り過ぎる市電を眺めながら喫煙していた。海外では屋内禁煙、屋外OKという国が多いからだろう。
札幌市の喫煙制限区域は、南北は北8条通から南4条通、東西は西1丁目から西4丁目と広い。札幌駅からススキノまでといったイメージだ。この一帯で観光客が喫煙場所を探すのは至難の業だ。屋外の広範なエリアを対象に喫煙制限区域を設け、違反者に過料を科している以上、今後は大通公園だけでなく市内の喫煙制限区域を中心に喫煙所を整備・拡充して、分煙社会を目指していくのが政令指定都市かつ国際観光都市としての札幌市の責務ではないだろうか。 (おわり)