三越伊勢丹の萎縮経営 コロナ禍の慎重姿勢でリストラの嵐
百貨店大手の中でもっとも新型コロナウイルスの影響を受けたのは三越伊勢丹だ。
同社の売り上げの約83%を占める伊勢丹新宿本店、日本橋三越本店、銀座三越の基幹3店舗は4月8日~5月29日の52日間、全館休業を強いられた。他社が食品売り場の営業を続け、5月中旬から次々に全館営業を再開し始めても、三越伊勢丹の経営陣は慎重だった。
「4月3日に恵比寿三越の従業員の新型コロナウイルス感染が発覚。杉江俊彦社長は萎縮してしまった」と中堅社員。
5月30日にようやく基幹3店舗の営業再開にこぎ着けたが、従業員のコロナ感染だけが後手を踏んだ理由ではない。3年前の就任以来、後ろ向きの策しか打ち出してこなかった杉江社長の姿勢が今回の萎縮経営につながったとの声が強い。
「前任の大西洋社長の拡大路線を修正するために起用された杉江さんがやってきたのはリストラばかり」と話すのは三越伊勢丹OB。杉江社長が進めた早期退職募集に応じて同社を去った。
杉江社長は店舗の閉鎖にも次々に踏み切っている。昨年9月、伊勢丹相模原店と同府中店が閉鎖。この3月には新潟三越が113年の歴史に幕を閉じた。