ふくおかFG「みんなの銀行」の誤算…金融庁が先進的と評価も収益化に疑問
「みんなの銀行」は、金融庁も太鼓判を押していた。「勘定系システムを、マイクロサービス化された疎結合型構成でパブリッククラウド上に構築。アジャイル開発の手法を導入した。さらに、API接続を通じて金融機能等を他の事業者にも提供するBaaS型ビジネスを目指す先進的な取り組み」(金融庁関係者)と評価していたのだ。
鳴り物入りで開業した「みんなの銀行」の誤算はなんだったのか。実は、地銀界では当初から「みんなの銀行の収益化は難しいのではないか」(地銀幹部)と冷ややかに見られていた。最大の誤算は「ローンの信用リスクにある」(大手信用情報機関)とされる。
みんなの銀行の口座数は今年度には100万人、ローン残高は120億円に達すると見込まれているが、その一方で、信用コストが上昇している。23年9月期の決算発表資料にも「信用コストの低減に向けた対応策を実行中」と明記されている。「地銀の強みは地域に密着した顧客基盤で、与信管理もきめ細かくフォローできる点にある」(同)という。「みんなの銀行」はそうした地域の強みがない分、信用コストは高く、収益を圧迫する構造問題を抱えているわけだ。