ニトリHD(下)創業者は終身トップを志向する…似鳥昭雄会長もまたしかり
実母が腹に据えかねたのはニトリの創業のくだりだ。
昭雄氏は「家具屋は自分が考えた末のアイデア」だと語っている。だが、実母は「家具屋は父さん(夫の義雄)が始めた」と断言した。
もともとニトリの株式は父・義雄氏の名義だった。1989年に父が死亡し、ニトリの株式を昭雄氏が相続したが、遺産分割協議書は偽造されたものだ、と母親と、昭雄氏を除く3人の妹弟が昭雄氏を訴えた。2007年に訴訟を起こした当時のニトリ株式の時価総額は200億円。骨肉の争いに発展した。
昭雄氏も徹底抗戦した。1審の札幌地裁で12年1月、昭雄氏が全面勝訴した。判決を不服として母親側は札幌高裁に控訴。控訴審で和解が成立した。
裁判で争っていた当時、昭雄氏は発行済み株式の12.4%を所有する筆頭株主だった。和解後、株主構成は大きく変化した。一族の資産管理会社の持ち株比率が高まり、自社株(自己株口)が大株主として登場した。
23年9月期末の株主構成は、ニトリ商事が18.1%で筆頭株主。公益財団法人似鳥国際奨学財団(3.4%で4位)、似鳥昭雄氏(2.9%、6位)、似鳥百百代氏(2.6%、7位)となっている。