ニトリHD(下)創業者は終身トップを志向する…似鳥昭雄会長もまたしかり
昭雄氏は日経に、自分が考えている真実を書いたわけだ。だが、母の目には、話を面白くするための誇張や作り話が多すぎると映ったのだろう。
超ワンマンの似鳥氏だが、実母だけは、どうも苦手のようだ。
■円安が逆風に
「週刊現代」(23年12月30日.24年1月6日合併号)に登場した似鳥氏は、「2024年は世界中で大混乱の一年」と予言した。
日経平均株価は「上期は3万~3万4000円の水準で動き、下期にかけて上昇し24年末には3万5000~3万6000円の水準を期待しています」とした。しかし、実際の株価は2月に3万8000円台をつけた。日経平均でも的確な予想をするといわれるが、近年の株価は似鳥氏の想定通りには動かない。
製造・小売りのニトリの業績に直結するのは為替だ。商品の9割以上を海外で生産するニトリは、対ドル1円の円安で年間20億円の利益が吹き飛ぶ。24年3月期は1ドル=130円が前提だったが、強烈な円安の逆風を受け、24年3月中間期(23年4~9月)は247億円の減益要因となった。今は「1ドル=155円前提で商品開発を進める」としているが1ドル=150円台という厳しい現実にさらされている。
似鳥氏は経営の最前線が似合う経営者だ。「終身トップでいきます」といつ言い出すかだけのような気がしてくる。