農林中金の資本増強はJA、JA信農連との“三位一体”の証し…今期純損失は1.5兆円の見通し
だが、「JAの経営は農林中金による利益還元によってはじめて維持できている。農林中金のグローバル運用は、日本の農業を守る生命維持装置」(JA関係者)だ。半面、ガバナンスは底辺を支えるJAが握っている。株式会社で言えば、大株主はJAであり、重要な決定権はJAが持ち、全国500におよぶJAの代表権を持つ全国農業協同組合中央会(JA全中)が握っている。今回の農林中金の1兆3000億円におよぶ資本増強にJAが応じるのは、そうしたガバナンスゆえであり、JA、JA信農連、農林中金は三位一体の関係にあることを表している。「JAなくして農林中金は存在しえず、農林中金なくしてJAは生きていけない。互助の関係」(JA関係者)なのだ。
ここにきて農林中金の危機の震源である米国の長期金利は低下傾向にある。農林中金にとっては、保有債券の含み損が減少する可能性があり、経営的には追い風が吹き始めた。農林中金の経営はV字回復する可能性が高い。