入居審査を不正に通過させる「アリバイ会社」はなぜなくならないのか?
アリバイ会社自体の歴史は古く、少なくとも90年代から存在しており、審査に通過しにくい高級物件や、水商売やフリーランスなど大家に避けられがちな職種の人向けに利用されてきたという。
最近では外国人入居者の増加に伴い、アリバイ会社の利用は都心から地方まで幅広い物件へと拡大している傾向にあると専門家は指摘する。
賃貸住宅仲介会社にオーナーなどから支払われる手数料は入居が決まってからの成果報酬のみ。よい部屋を探し出しても審査落ちとなれば1円にもならず、何とかして審査を突破し、ねじ込みたいという思惑が働く。
一方で、物件オーナーや管理を担当する管理会社、賃貸保証会社にとっては大問題だ。はなから身分を偽ってくる入居者は、その後の生活マナーなどで後々大きなトラブルにもつながることも考えられる。もし、後から不正が発覚しても、退去させるコストは高い。そのため、大手不動産会社の中には入居審査のために探偵まで雇うこともあるという。
都内の不動産管理会社も昨年、被害にあった。「家賃20万円の物件に入居した人物が、契約後に一度も家賃を支払わないまま居座り続けた。調査の結果、入居審査時に提出された在職証明書類は偽造されたものだと発覚した。取りっぱぐれた家賃は200万円近い。会社の借り上げ物件なので丸損」と嘆く。