スピードスケート短距離メダルゼロを招いた日本勢の“驕り”
NHKで解説の黒岩敏幸氏(92年アルベールビル500メートル銀メダリスト)も「日本人の特権を奪われた」と指摘している。長野五輪500メートルで清水宏保はロケットスタートを決めて差を付け、逃げ切った。特に2本目は最初の100メートルを最速の9秒54。その勢いで35秒59。2本合わせて1分11秒35で優勝した。今回、長島は1本目の100メートルは9秒53でトップだったが、それでも3位だった。
■井の中の蛙
今回、男子500メートルで金、銀、銅メダル独占したオランダは世界一美しいといわれる長島圭一郎の滑りを徹底研究。金メダルのM・ムルダーは「世界一」といわれる加藤のスタートダッシュをビデオで繰り返し見て参考にしたそうだ。
逆に日本は国内では強化を図ったが、海外へ目を向けることを怠ったようだ。オランダ国内選考会の男子500メートルで34秒台の記録が出たときも、日本のスケート関係者はまともに取り合わなかったという。オランダは長距離王国という観念からだろう。
スピードスケートは長野、北海道で盛んでこれまで多くのメダリストを輩出してきた。
「その北海道でも少子高齢化もあって、スピードスケートをやる子どもは減っています。連盟も強化に力を入れているが、次の世代からメダルを狙える選手がなかなか育ってきていない」(高野氏)
日本のスピードスケート界はソチ五輪を境に“暗黒の時代”に突入する。