<第21回>奇異の視線に怯えながらガリガリの体でインカレに出場
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
拒食症という病気になって半年が過ぎた03年12月。32キロまで落ちた体重が38キロ前後に戻った私は、ようやく長久保(裕)先生からリンクで滑ることを許されました。
半年以上も氷上から遠ざかっていたこともあり、最初は病気になる前のような演技、ジャンプはできません。それどころか、向きを変えただけで転ぶほど何もできなくなっていました。でも、不思議なもので、滑れば滑るほど以前の感覚は戻り、自信も湧いてきました。その姿を見て、大学のスケート部の部長からある提案を受けました。
「滑りきれるかどうかわからないけど、1カ月後のインカレ(全日本学生選手権)に出てみるか?」
実戦から遠ざかり、体調も万全でないことを考えれば、今の自分の現状を把握するいいチャンスかもしれない。後に聞いた話ですが、長久保先生も私が試合に出れば奮起するのではないかと思っていたそうです。
その一方、自分の痩せ細った体に視線を移すと、途端に気持ちが消極的にもなりました。