<第28回>フィギュア選手の等級とスケート靴の秘密
等級が高くなるにつれて変化するのがスケート靴です。
一般的に皆さんがリンクで借りるフィギュア用スケート靴は革製の靴部分とブレードと呼ばれる金属刃が一体となった比較的重いものが主流です。しかし、国際大会に出場する選手のスケート靴というのは形状や材質がやや異なります。
例えば、私が現役時代から使用しているイタリアの「エディア」というスケート靴メーカーの上級者モデルは、靴の側面こそ革製も、革と革の間にはプラスチックが埋め込まれています。革製靴だと時間が経つにつれ柔らかくなり、靴が変形、強度が落ちてしまうのです。
その点、プラスチックが外革内部に埋め込まれた靴は、耐久性に優れ、激しいジャンプやスピンをしても簡単には形状が崩れません。革だけの靴に比べ軽量化もされているため、ジャンプも跳びやすいのです。
ブレードも同様で、上級者モデルの多くは一般的な貸靴のように直線的ではなく、ステップや高速ターンに対応するため、エッジ部分がカーブ状になっているものが多い。材質もステンレスやカーボンで軽量化。ジャンプ、ターンなど個人の演技の特徴に合わせ、ミリ単位で形状を変えることも可能です。