大物FA選手落合さんのお世話ががりに
試合中にはこんなこともありました。守備用と打撃用でスパイクを履き替える落合さんが、守備から戻ってきてベンチにドカッと座ると、フウーと大きく息を吐いたまま動かない。その当時、背中を痛めていたことを知っていたので、スパイクを履き替えさせて欲しいということかな、と気を回した僕は落合さんの足元にひざまずき、スパイクの紐を解きます。こんな姿がテレビに映ったら、お母さんが泣くな、なんて思いつつ、両足のスパイクを履かせました。
スクッと立ち上がって打席に向かおうとした落合さんはしかし、自分でスパイクの紐を締め直していました。勝負に向かうときに、他人に結んでもらったんでは、やっぱり気持ち悪かったんでしょう、その感覚は分かります。
そんな落合さんに、秘密の打撃特訓を受けたことがあります。(つづく)
▽もとき・だいすけ 1971年12月30日生まれの43歳。大阪府出身。上宮高時代に甲子園に3度出場し、歴代2位タイの通算6本塁打を放つ。89年のドラフト1位でダイエーに指名されるも、入団を拒否してハワイに野球留学。翌90年ドラフトで巨人から1位指名を受けて入団。長嶋監督が「クセ者」と呼んだ野球センスを武器に一時代を築いた。05年オフに引退し、現在はタレントとしても活躍する。通算成績は1205試合に出場して打率.262、66本塁打、378打点。