王貞治氏は30本で引退したが…野球選手から消えた“引き際”
スポーツファンの菅野宏三氏(ビジネス評論家)は、「日本人の感性が変わってきた」と指摘する。
「30本塁打でも辞めた王さんは、自分の求める打撃ができない以上、試合に出ることはプロとしてのプライドが許さなかったのでしょう。そこには打撃の職人としての魂や引き際の美学というものを感じます。今の選手は、たまに試合に出てきて、活躍すれば話題に飢えているマスコミが持ち上げてくれる。そういう報道も情けないとは思わない。自分はどう思われているかということに鈍くなっているというか、気にしていないのではないか」
「Modesty」という英単語がある。謙虚、控えめ、慎ましやかという意味だ。これらは日本人が持っている美徳といわれているが、それも昨今は失われつつある。
「企業にしても激しい世の移り変わりに対応できず、人材劣化、老害により成長を阻んでいる。経営者もサラリーマンも、とにかく自分さえ得をすれば、損しなければいいという、自己中心的な人が増えている。社会全体に心の余裕がなくなっている」と、前出の菅野氏は言う。