生き証人3人が語る 平成5年「ドーハの悲劇」の真実<後編>

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 オフト監督には「サイドバックの理想像」があった。まずは守り、そして他選手との連係、そして攻め上がってクロスを放り込む――。Jリーグ開幕前の1993年4月にアメリカW杯アジア1次予選が行われ、UAEとのアウェー戦でオフト監督は、不動の左SB都並に「互いにナイフで刺し合うような(緊迫した)試合では、前後半に1本ずつクロスを上げればいい」と指示を送った。大前提として守備重視があり、攻守のバランス感覚も重要視していた。

都並あの当時の勝矢はフィジカルもメンタルも高いレベルで整い、ストッパーとしては最高の選手だった。でも左サイドバックとしての技術が足りなかった。サイドバックには<安定した守備><中盤でのつなぎ><攻撃の仕掛け>が求められます。手前みそになってしまいますが、それぞれの役割を最もバランス良くこなせる選手は自分しかいなかったと思います」

■「カズの足がもう数センチ長ければ…」

 ちなみにスペイン合宿での練習試合のハーフタイムに、清雲コーチから「後半から行くぞ」と言われた勝矢は「驚いた」とあるインタビューに答えている。センターバックのヴェルディ・DF柱谷哲二、横浜M・DF井原正巳のコンビは安定したプレーを見せ、右SBのレギュラー堀池巧(清水)の調子も上々。どのポジションに入るのか分からなかった勝矢は、オフト監督から「左サイドバックで行くぞ」と言われて「えっ! マジですか?」と聞き返したと述懐する。

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