打者のスイング軌道は変わった 投手も“低め信仰”を捨て去れ
下から上へバットを出す打者が、最も窮屈になるのは高めの球だ。私は30年以上も前から「低めにこだわるな。困ったら高めの真っすぐでいけ」と指導してきた。
コーチが投手に口を酸っぱくして「低め、低め」と教えるのだから、当然、打者だって低めを意識する。打撃コーチには常日頃、「高めは振るな」と言われているのだから、なおさらだ。いよいよ、高めの真っすぐが利く、というのが私の考えだった。
近鉄時代にメジャー通算235本塁打を記録したオグリビー、横浜時代に3度のサイクル安打をマークしたローズに「打者にとって最もイヤなボールは何か?」と聞いたら、2人とも「high fast ballだ」と答えたものだ。
高めの真っすぐをいかに効果的に使うか。打者のスイング軌道が変わった今、ますますこれが大事になる。ストレートは高めに、変化球は低めに。投手が打高投低の時代を生き抜く唯一の方法はこれだと思う。