人生を戦う同志…異業種の一流の方々との交流で磨いた感性
■ハッとする瞬間
私は横浜の監督時代、前出した松山千春さんを「陰のヘッドコーチ」と呼んだ。野球や采配のアドバイスを得たわけではもちろんないが、彼の生き方、考え方、ものの見方などは、組織をつくるうえで大いに参考にさせてもらった。
その松山さんに引き合わせてもらった、天台宗の名僧・酒井雄哉師(故人)からもさまざまな「気付き」を得た。
私の座右の銘になっている、「無理せず、急がず、はみ出さず、自分らしく、淡々と」は、酒井さんの教えを自分なりにアレンジしたものである。監督時代は、この座右の銘を書いた紙を常に野球帽の裏に忍ばせ、どうしても無理をしたくなる試合展開になったときは、帽子に手を当てて「無理せず、急がず……」と自分に言い聞かせた。この教えがなかったら、あの1998年の横浜日本一はなかったと思っている。ソニーの元取締役で「ミスター・ウォークマン」と呼ばれた黒木靖夫さん(故人)も刺激的な方で、何度も私に「ハッとする瞬間」を与えてくれた。
そうやって自分の感性を磨いてきたのだ、と改めて思った。現役選手諸君にも短いオフを有益に過ごしてもらいたいと思う。