大谷が今季打ちまくるこれだけの根拠 開幕延期も追い風に
オープン戦は19打数2安打で打率.105
米大リーグ機構(MLB)は日本時間27日に開幕予定だったレギュラーシーズンを最低2週間は延期、オープン戦も中止すると発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大はNBA、NHLに加えてMLBも直撃したが、その裏側でいくらなんでも成績がヒド過ぎるんじゃないか、本当に大丈夫かとファンをヤキモキさせているのがエンゼルスの大谷翔平(25)だ。オープン戦9試合で19打数2安打の打率1割5厘。本塁打はなく、わずか1打点。全試合で4番を打ちながら、三振数は11個と、1年目の10個を上回った。
このオープン戦は右足を上げたり、すり足に戻したりと、打席ごとにフォームを変更。試行錯誤を繰り返したのは、フォームが定まらないからに他ならない。相手バッテリーの術中にはまり、速球、変化球ともタイミングが合わず、凡打の山を築いた。
大谷のバットから快音が聞かれない原因は明らかだ。昨年9月に左膝の手術を受けたため、オフの間の走り込みが不足して、打席で下半身の粘りが利かない。上体に頼った打ち方を繰り返したからだ。
「オフの間にムキムキに鍛え上げた上半身とは対照的に、下半身がまだ不安定なため、上下のバランスが悪い。下半身主導の打撃ができていないのです。下半身が安定しないから、タイミングも取りづらい。それでフォームも試行錯誤しているのです。もっとも、長打が出ないだけで、強い当たりが野手の正面を突くなど、依然としてパワーは健在。下半身が安定し、うまくタイミングが取れるようになれば、大谷本来の打撃を取り戻すでしょう」(現地で取材する放送関係者)
投手復帰はプラスに作用
2018年10月にメスを入れた右肘の不安は解消され、今年5月中旬には投手として復帰する予定。二刀流の復活も打者大谷にはプラスに作用するはずだ。
大谷は二刀流の完全復活に向けて、オフの間の走り込みが不足した分、このキャンプ、オープン戦はこれまで以上に走り込み、下半身強化に励んだ。キャンプ当初こそ左膝への負担を軽減するため、下半身強化のメニューは制限されたが、今後はマウンド復帰に向けて走り込みやスクワットの量を増やす予定だ。
ならば開幕延期で時間がタップリできた分、下半身をみっちり鍛えることができる。上半身と下半身のバランスが取れた状態で、レギュラーシーズンを迎えられる。延期は少なくとも大谷にとってプラスに作用するに違いない。
そもそも大谷がオフの間に筋トレに励み、プロレスラーのようなマッチョな肉体に鍛え上げたのは、シーズンを通じて二刀流のパフォーマンスをコンスタントに発揮するためだという。
「中6日のローテとはいえ、登板間にはDHで出場するため、シーズン中はオフのようなハードなウエートトレに取り組む余裕はない。本人も『シーズン中はどうしても筋力が落ちる。技術をプラスしていくしかない』とオフに上半身を鍛えたのは貯金のようなものだと明かしています。野手に専念しながら夏場過ぎに失速した昨季の反省も踏まえて、ピークを開幕に合わせるより、シーズンを追うごとに調子を上げていくことを優先したのです。今季は投球回数を制限されますけど、投打とも安定してパフォーマンスを発揮するのではないか」(前出の関係者)
大谷の能力を高く評価している新監督のマドンは、「(打撃の調子が上がるのは)時間の問題。彼は大丈夫。何も心配していない」と絶大な信頼を寄せている。
大谷は打者として新人から2年続けて好成績を残している。1年目は打率・285、22本塁打、61打点。2年目の昨季は同・286、18本塁打、62打点だった。
メジャー1年目のオープン戦は同・125、0本塁打、1打点と、まったくといっていいくらい結果が出なかったが、それでも公式戦に入ったとたん打ち出した。それなりの数字が求められるシーズンでは期待に応えた実績があるだけに、指揮官も大谷がいま打てないからといってバタバタしないのだろう。
■強打者レンドンの加入で投手のマークも散る
今季のエンゼルス打線は厚みが増した。ナショナルズの主砲としてワールドシリーズ制覇に貢献したレンドン(29)を昨年オフにFAで獲得。2番トラウト(28=昨季45本塁打、104打点)、3番レンドン(同34本塁打、126打点)と続く打線は強力で、大谷は2人の後の4番を打つ予定。投手が2、3番の強打者相手に神経をすり減らすのは必至だし、後ろを打つ5番にはプホルス(40=同23本塁打、93打点)が控えている。例年以上に強打者に囲まれることになるだけに、マークが散る分、失投も増えるのではないか。
さらにマドン監督は大谷の登板日はDHを使わず、大谷をそのまま打席に立たせる構想を持っている。大谷は1試合の中で投げて打つのが自然と考えているだけに、登板日のDH解除は精神面でもプラスになる。
結果が出ないことには理由があるうえ、その不安は開幕が延期されたことで解消される可能性が高い。大谷が今シーズン、期待できるのは間違いない。