大関昇進・朝乃山の転機 中学時代の左ヒジ骨折と不屈精神

公開日: 更新日:

「相撲を続けようか迷っています」

 朝乃山にとって、大きな転機となったのが3年時に出場した全国都道府県中学生相撲選手権大会。国技館の土俵で行われたこの大会で優勝……ではなく、左ヒジを骨折してしまった。

「おっつけられ、締め付けられて脱臼骨折です。この時のケガの影響で、同じ年に行われた中体連の全国大会には出場できなかった。当時、彼はキャプテンでしたから、無念だったでしょうね。ただ、もしこのケガがなければ高校でも相撲を続けていたかどうか……」(杉林教諭)

 朝乃山は富山商高の故・浦山英樹監督に「オレが強くしてやる」と勧誘され、進学した経緯がある。しかし、杉林教諭は「もし、全国大会に出場していたら相撲をやめていたかもしれない」と、こう続ける。

「ケガをする前、『高校に行っても相撲を続けようか迷っています』と話をしていましたから。それが左ヒジの骨折でしょう。中体連の大会でも、腕にギプスをしながら、まわしをつけて応援していた。それだけにこのまま終われない、と思ったんでしょうね。『不完全燃焼だったので高校でも相撲を続けます』と言っていましたから」

 富山商高では浦山監督の厳しい指導、近畿大学では故・伊東勝人監督による自主性を重んじた指導で鍛えられた。いずれも基礎稽古を最重視し、みっちり行うのは共通している。

 アマチュア時代にコツコツと積み上げた稽古を財産に、富山県勢としては1909年の太刀山以来となる大関に昇進した朝乃山。次の番付は、決して遠くはない。

【写真ギャラリー】無観客開催 大相撲三月場所4日目
【写真特集】無観客で開催 大相撲春場所
【写真ギャラリー】大相撲一月場所

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド