12年打撃2冠&MVP裏で…阿部の配球グセが阪神にバレていた
2012年、巨人の主将だった阿部慎之助は初の打撃タイトルとなる首位打者、打点王、最高出塁率を獲得し、セ・リーグMVPに選出された。
ちょうど1年前、11年オフに私は一軍バッテリーコーチに就任。その年の対阪神戦のデータを洗い出すと中軸のクレイグ・ブラゼルに打率・397、3本塁打、16打点とカモにされていた。詳細をみると空振りやファウルの次の球で、違う球種を打たれていたことが判明した。同僚の新井貴浩にも同じ傾向が出ていた。
原因は慎之助のリードにあった。打者に反応されると次は必ず球種を変えていた。例えば、直球の次はスライダー。そうなると、変化球の後は高い確率で直球ということ。これでは打たれる。阪神勢はこのクセを共有していた可能性がある。慎之助にこれを指摘すると、「え? そうなんですか?」と混乱しているようだった。どうやら無意識に出していたようだ。
私はこう説明した。
「バッターに反応されても、1球、2球と同じ球種を続けてみよう。真っすぐに反応されたら真っすぐ。変化球なら同じ変化球を続けよう」