伝説の“10.19”有藤監督が9分間猛抗議したワンプレーの真相
「何やってんだ! 早くしろ!」
ブルーのグラウンドコートを着て猛抗議する有藤通世監督に対し、スタンドのみならず、近鉄ベンチからも強烈なヤジが飛んできた。
1988年10月19日、近鉄とのダブルヘッダー第2戦。4対4で迎えた九回裏、無死一、二塁の場面で、近鉄の左腕・阿波野秀幸が二塁へ牽制した。送球が少し高くなり、二塁手の大石大二郎さんがジャンプして捕球。帰塁した二走の古川慎一の足が二塁べースから離れたことで、すかさず大石さんがタッチし、アウトと判定された。
古川は「押された」とジェスチャーで訴え、走塁妨害を主張した。その瞬間、有藤さんがベンチを飛び出し、二塁塁審に詰め寄った。
ベースを指さし、身ぶり手ぶりを交えて猛抗議。試合は、抗議が始まった時点で3時間半を経過していた。この試合は、開始から4時間以上経過すれば新たな延長イニングに入らないという決まりがあった。近鉄ベンチのヤジから、いち早く抗議を終わらせてほしいという怒りが伝わってきた。