2010年主将指名 西岡剛を一度だけ叱り飛ばしたことがある
「どこを見て人の話を聞いてるんや! これからいろんな人から指導を受けるんだから、きちんと相手の目を見て聞け!」
高校を卒業したばかりの19歳とはいえ、社会人。コーチによっては指導の合う合わないがある。私も現役時代、そう思いながらやってきた。ただ、選手の間で現役時代に実績のない人の話は聞いても意味がない、という声が出ていると聞いていた。私自身、厳しく接してはいたが、どのコーチの話も謙虚に耳を傾けてほしかった。
西岡はその後、05年の日本一に貢献すると、一軍の不動のレギュラーに成長。成績もさることながら、私が西岡をキャプテンに指名したのは、性格の強さを買ったからだ。
バレンタイン監督の最終年となった09年、チームは去就問題に揺れた。シーズン終盤、一部のマリーンズファンがボビーの続投を求めて横断幕を掲げた。
中には誹謗中傷の類いもあった。西岡はヒーローインタビューの際、「ファンの応援を見て、このチームがすごく好きになった」とファンを立てつつ、「横断幕を下げてほしい」と直訴。チームの選手、関係者の思いを勇気を持って代弁したのである。