「観客上限」決定へ 菅政権がIOCと“五輪ファミリー”を優遇するウラ事情
東京五輪の観客上限は、8日開催される政府や組織委員会などの5者協議で決定される見込み。新型コロナの感染が拡大するさなか、専門家からは「無観客」を求める声が上がるが、それでも菅政権は一部会場を「有観客」にし、さらに、IOC(国際オリンピック委員会)の関係者やスポンサーら“五輪ファミリー”の特別枠についても、圧縮した上で入場を認める方針というのだから、大炎上必至だ。
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「国立競技場の客席スタンドで、感染リスクが下げられることが分かりました」
6日の会見で「観客を入れてもOK」と言わんばかりの発言をしたのは萩生田文科相だ。スパコン「富岳」を使い、観客1万人の中に10人の感染者がいる前提で、国立競技場での感染リスクを試算した結果を発表してみせた。
一方、特別枠の存在について問われた丸川五輪相は「具体的な案が議論されているわけではない」とスットボケ。結局、小規模会場での「有観客」と特別枠の入場をシレッと決めてしまう腹積もりだろう。
さすがにSNSでは、〈あまりに露骨な特別待遇〉〈五輪ファミリーの“おもてなし”に税金使うな!〉などと批判続出。なぜそこまでして五輪ファミリーを入場させたいのか。「ぼったくり男爵」などと揶揄されるIOCの“貴族”を優遇したら、批判を浴びるに決まっているだろう。
「IOCがどうしても特権を手放したくないのです」と言うのは、東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏だ。
「主催者として開催地に赴き、関連するVIP客を少数でもいいから招待する。この特権こそが、自分たちの存在価値を維持する上で重要な鍵であると考えているのでしょう。特に、感染拡大により一般観客数が制限されればされるほど、VIP席のプレミア感は高まる。招かれたVIPはご満悦でしょう。菅政権はそんなIOCにあらがうことができないのだから情けない限りです」
IOCとスポンサーの“ご意向”
スポンサー枠をかたくなに維持する理由もハッキリしている。
「スポンサーとしてはビジネス上“接待枠”を確保しておきたい。取引先幹部に『ご家族と一緒にどうぞ』などと言って枠を提供するのです。こういった接待でビッグビジネスにつながった例は枚挙にいとまがありません。菅政権もそんなスポンサーの意向を無視できない。自民党が複数のスポンサー企業から巨額の献金を受けているのだから当然です」(大会関係者)
五輪ファミリーの中でもVIPクラスの関係者になると、都内3つ星ホテルにタダ同然で宿泊可能。新型コロナの感染拡大が止まらない中、国民はイベント参加や飲食店利用など、あらゆる行動の自粛を強いられているのに五輪ファミリーに特権を与えるなど、どうかしている。
「5者協議では、特別枠の数を絞ってくるでしょう。とはいえ、少数でも海外からの入国を認めるわけですから、感染拡大リスクを高めるのは明白です。それに、チケットを買ったのに再抽選ではじかれてしまう人に対し、組織委はどう説明するのでしょう。観戦したかったのにチケットが『無効』になってしまう人がいる一方、特別枠で優遇されるVIPがいる。誰も納得しないでしょう」(本間龍氏)
本来、菅首相は「『特別枠』は廃止だ!」とブチ上げるべきだろう。