<10>中国人選手は話しかけてもスルー…今でも気になるトリノの銅メダリスト
「アウェーかもしれないけど頑張って」
「大丈夫です! 今、中国語を勉強しているんです」
さすが、です。挨拶を無視されて睨み返すのが精いっぱいの私とは違う。小平選手は探求心にあふれている。オランダに行けばオランダ語を覚え、韓国へ行けば韓国語を覚える。英語だけじゃなく現地の言葉を習得してコミュニケーションを取ろうという努力を惜しまない。
オランダ留学中も、知らない言葉が耳に入ってきたらすぐにメモをして「今の言葉は何?」とコーチやチームメートに聞いていた。辞書も持っていたけど、普段使う言葉はニュアンスや表現が辞書とは違う部分もある。書いては発音して、を繰り返していたという。
理解したいという気持ち、知ったかぶりしないで納得するまで話しかけるという気概。私がトリノで競り負けた任慧選手も、小平選手になら心を開いたかもしれない。