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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

中国女子テニス彭帥の「SNS問題」をいきなり人権問題や五輪ボイコットに結び付ける危険

公開日: 更新日:

「女子テニスのトップ、ほうすい選手」と言うから誰かと思えば、中国の彭帥だった。英語表記はPeng Shuaiで2013年のウィンブルドン・ダブルスで優勝し、発音はポン・シュァイ。伊達公子ら日本選手は「ポンちゃん」と呼んでいた。

 35歳になったポンちゃんが、40歳も年上の政府高官との肉体関係をSNSで暴露した。セクハラだ、#MeToo運動だと米国メディアが飛びつき、女子ツアーを統括するWTAも抗議、国内では国民民主党の玉木代表が人権問題に絡め北京五輪ボイコットまで口にした。短絡的でちょっと“面妖”な話だ。

 テニスは社交界で普及し、男女共同でルールを築いてきた。ポツダム宣言に調印した重光葵はテロで片脚を失う前の中国公使時代、よく地元高官とテニスをしたと書いている。中国の高官にもテニス好きはいるだろう。日本でもごく最近まで皇族と選手の交歓大会が行われていた。

 また、セクシーが女子テニスの特徴ということはウエアに明らかだ。このきっかけは1949年にテッド・ティンリンが米国のモーランにデザインしたウエアで、いま見ればどうってこともないが、レースの入ったアンダースコートが「モーランパンティー」として物議を醸した。ティンリンは追放されたがすぐ復帰し、エバートやナブラチロワ、ウィンブルドンで優勝した時の沢松和子とアン清村のウエアのデザインも手掛けた。その後の“露出度進化”には目を見張るばかり。

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