メジャーリーグの組閣事情「カネも出すがクチも出す」オーナーの弊害
そのため、どのチームも11月中に組閣を終えており、1月になってコーチの人選を始めれば、他球団のコーチになっている者を譲り受けるか、高年齢で望むポジションにつけなくなっている者と契約するしかない。
基本的にコーチを任命する権利は監督にあるが、GMもバックアップするため、エプラー新GM(2012~14年ヤンキースのGM補佐)が元の上司であるヤ軍のキャッシュマンGMに頼み込んでチャベスをメッツの打撃コーチにもらい受けることには成功した。
しかし、ショウォルター監督が腹心のベンチコーチに据えることを強く希望していたパドレスのライアン・フラハティ・コーチの獲得はパ軍から拒絶された。フラハティの職掌はクオリティーコントロール・コーチである。これはキャンプの運営を担当するのが仕事で、キャンプインまで1カ月しかない時期にチームを去られては困るというのが拒否の理由だった。
パドレスの言い分は100%正しい。このような事態が起きることになったそもそもの原因はメッツのコーエン・オーナーにある。この人物は1兆7500億円の資産を有する富豪だが、カネも出すが口も出すタイプ。素人なのにGMの人選に口を挟んでエプラー新GMの就任が11月18日にズレ込み、監督の人選にもあれこれ注文を付けたためショウォルター新監督の就任は12月20日になった。コーチの人選は監督が決まってからになるので、このようなドタバタを繰り広げることになったのだ。