スノボ村瀬心椛にはまだ伸びしろ 冬季最年少メダル更新も恩師は「フィジカルが課題」と指摘

公開日: 更新日:

 冬の日本人最年少メダリストが誕生した。

 スノーボード女子ビッグエアで村瀬心椛(17)が銅メダルを獲得。2010年バンクーバー五輪銀メダルのフィギュアスケート女子・浅田真央の19歳を抜き、冬季五輪で最も若いメダリストとなった。

【写真】この記事の関連写真を見る(10枚)

 初々しい笑顔とは対照的に「家族とか友達とかスポンサーの方々とか、私だけで取れたメダルではない。みなさんに感謝しかない」と語った17歳。村瀬が通った岐阜西中学校で学年主任を務めた後藤幸子教諭も「勉強や校内活動に対してとても誠実に取り組む子でした。世界大会で優勝しても自慢することもなく控えめで、人柄の良さが印象的でした」と振り返る。

 村瀬は現在、岐阜第一高校の2年生。所属するスキー部顧問の安藤聡教諭は、「村瀬を知る子たちは『人前に出た時と普段のギャップがすごい』とよく言っています。いつもは、おっちょこちょい。よく(何もないところで)けつまずく。みんなからは『心椛は雪の上じゃないと立っておれんね』と言われるくらいです」と話す。

 13歳で出場した18年の世界最高峰のXゲームで最年少優勝を果たしたものの、大きな挫折も経験した。同年12月の中学2年時、米国遠征中に右膝蓋骨を骨折。19年8月に復帰するも、高校入学後も痛みが続いたという。

 スキー部の大場順二総監督は言う。

「1年の頃は膝にまだかなり痛みがあり、ボードをつけてジャンプするだけでも痛かったと思う。1年の時はリハビリの延長として下半身の強化に費やした。それでもケガの影響で本格的には追い込むことができず、現在も基本的に筋力は不足しています」

「五輪戦ってフィジカルの重要性は感じたと思う」

 高校では週5日、フィジカル強化に取り組み、土日は父・功一さんの運転で岐阜市の自宅から片道4時間、250キロ離れた富山県の「立山キングス」で技の研鑽に時間を費やした。車で30分の距離にあった室内ゲレンデ施設「スノーヴァ羽島」は昨年11月末で閉業。部活動が終わると週1、2回は夜間練習に訪れていたが、貴重な練習場所を奪われる試練もあった。

 最年少を更新した快挙に、大場総監督は期待も込めてこう指摘する。

「動体視力とかバランス能力とか数値では測れないセンスは持っている一方で、自分の体をコントロールする能力もまだまだ。体幹もそこまで強くないし、私からすると今のフィジカルレベルであそこまでのパフォーマンスを発揮できるのが驚きでした。(決勝で)2本は着地できたけど、上半身が潰れるような不安定さもあった。ボードを履いた練習は大好き。ただ、フィジカルに関してはまだ意識が低いところもある。気持ちが乗ってくるとやるし、乗らないとあからさまに態度に出す子なので、分かりやすいですが(笑い)。今回、初めて五輪を戦ってフィジカルの重要性は十分感じたと思う。今後もっと高難度の技に挑戦するには、感覚だけじゃなくフィジカルに裏付けされた技術が必要になってきます」

 まだまだ伸びしろがあるということだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1

    ユニクロ女子陸上競技部の要職に就任 青学大・原晋監督が日刊ゲンダイに語った「野望」

  2. 2

    選手は不満言うなら今のうち?バレーボールSVリーグ大河正明チェアマンの「手のひら返し」で好機到来か

  3. 3

    鈴木大地・日本水連会長「罰ゲーム発言」に続き参院選出馬報道でまたしても波紋広がる

  4. 4

    卓球・木原美悠の父が教え子へのわいせつ容疑で逮捕!かつて語っていた天才愛娘へのスパルタ指導の中身

  5. 5

    不手際連発の水連にうんざり?日本トップスイマー相次ぐ海外逃避…「アスリートファーストではない」と批判噴出

  1. 6

    貴ノ浪が43歳で急逝 横綱・大関は「寿命が短い」本当の理由

  2. 7

    「何かをやる女」大坂なおみに浮上の気配…生活面はともかくコート上のメンタルはめちゃくちゃ強い

  3. 8

    5年以内に箱根経験者から2時間3分台の記録が生まれ、世回大会で優勝争いする日本人選手が出てきます

  4. 9

    バレーSVリーグに現役選手から不満爆発!《ハテナがつく事ばかり》の現状招いた真犯人

  5. 10

    やり投げ北口榛花 貫禄の大会連覇で見せたさすがの修正力…9月の世界陸上へ敵なし

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  2. 2

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 3

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  4. 4

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  1. 6

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑でCM動画削除が加速…聞こえてきたスポンサー関係者の冷静すぎる「本音」

  3. 8

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  4. 9

    綾瀬はるかは棚ぼた? 永野芽郁“失脚”でCM美女たちのポスト女王争奪戦が勃発

  5. 10

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり