森保J「独遠征メンバー30人」の落とし穴…気になる“ポスト大迫”とベテランDF2人への拘泥
期待の上田綺世はベルギーでも苦戦中
そんな中、今回のメンバーで「ポスト大迫」に名乗りを上げそうな選手がいる。
「鹿島から今夏ベルギーのセルクルに移籍したFW上田綺世が、ポスト大迫の一番手として期待されたが、代表9試合で無得点。ベルギーでもゴールを決めるのに四苦八苦している。そこでFWの町野です。7月に国内組が参加した東アジアE-1選手権で3得点と結果を残し、サプライズ的に代表メンバー入りした。町野の持ち味は身長185センチのフィジカルを生かした空中戦の強さと両足で強いシュートを放てるところ。運動量も豊富で中盤エリアに下がってのポストプレーも得意。ドイツ遠征でゴールを決めれば、一気に1トップの最有力候補に躍り出る可能性もある」(サッカー関係者)
町野は大阪・履正社高から2018年に横浜M入り。19年にレンタル移籍先のJ3北九州で活躍してJ2昇格の立役者となり、21年にJ1湘南に引き抜かれた。J3→J2→J1とステップアップ。そしてW杯前最後のテストマッチとなるドイツ遠征メンバー入り。本大会のワンダーボーイとなるかーー。
■ベテラン長友、吉田の処遇
森保一監督(54)は、ベテランを重宝する。かつて、日本代表の世代交代について「私の中で他の選手に抜かれていないのに、変える必要はない」と話したことがある。特にこだわっているのが、DFのベテラン2人。まずは国際Aマッチ出場136試合の長友佑都(36=東京)だ。
右SBで出場した6月のブラジル戦ではしぶとい守備で当時21歳のエース・ビニシウスを封じたものの、「フィジカルもスピードも低下している」と限界説もささやかれており、本職の左SBでは中山雄太(25=ハダースフィールド)らと激しくポジションを争っている。長友自身も「首の皮一枚つながってる状況」と危機感を募らせている。
元ワールドサッカーグラフィック編集長の中山淳氏がこう言う。
「運動量やギリギリに競り合った場面のクロスなどの精度が落ちています。最近は無難なプレーに終始することが多くなった。長友が前線に上がるとDFラインに戻れなくなり、背後を突かれかねない。強豪相手だとDFラインを上げられなくなる恐れがある。こうなると、前線から終盤まで全体が間延びしてしまい、ドイツやスペイン相手には防戦一方になる可能性があります」
同119試合で日本代表の主将でもある吉田麻也(34=シャルケ)もしかりだ。6月のチュニジア戦で3失点全てに絡んだことで、風当たりが強くなっているのだ。
「吉田については、衰えは感じないが、急成長していた板倉がポジションを奪う可能性があるとみていたので、故障で招集されなかったのは残念。森保監督は国際経験が乏しいため、吉田や長友のような経験豊富なベテランに頼りがち。仮に板倉がW杯に間に合ったとしても、初戦からスタメン出場は考えにくいですから」(中山氏)
森保監督は心中覚悟で、最後まで2人のベテランにすがるつもりのようだ。