株式会社GSL社長 小野剛(4)プロ野球を引退した元選手の受け皿づくりに向けた3本の柱
■巨人OBスカウト就任の経緯
小野氏が20年からOBスカウトになったのは、13年から部員約150人を抱える中学の硬式クラブチーム、狭山西武ボーイズ(埼玉)の代表を務めているからだ。チームの首脳陣は多数の元プロで構成されていて、創部2年目で全国大会に出場して以降、県内では敵なしの常勝軍団になっている。この狭山西武ボーイズも元プロの受け皿として重要な2つ目の柱。元プロが少年野球チームをつくり、元プロが経営する整骨院と連携すれば、球児のケガの防止にもなるし、整骨院の経営の一助にもなる。OBスカウトとしての活動の幅も広がり一石三鳥だ。
そして、3つ目の柱は昨年10月に顧問に就任した人材紹介会社「KSキャリア」での活動だ。
「元プロをKSキャリアに入れて、適性を見極めてからグループ企業に送り出そうと考えています。会社の母体であるKEIAIグループは不動産事業を主とした社員数2000人超の大企業。多種多様な職種があるから、個々に合った仕事が見つかるはず。ただ、顧問に就任してから初めてのシーズンオフを迎えましたが、正直、難航しています。巨人などのプロ球団の上層部からは賛同を得られ、引退する選手たちに働きかけてもらっていますが……。肝心の選手たちの心がなかなか動かない。自分のクビを切った人から就職先を勧められても意固地になるでしょうからね。だから、チームメートからの信頼が厚い兄貴分のような選手や、選手の親代わりになるスカウトさんに声をかけてみようと思っています。まずはKSキャリアを知ってもらうところからですね」