大英断!エ軍が右腕2選手を獲得、大谷翔平“トレード消滅”で「ヒリヒリする9月」を目指す
枯渇したマイナーの刷新
今夏のトレード市場では大谷を巡って有望株のバーゲンセールが行われそうだが、長らくマイナーの人材が枯渇するエ軍にとっても決して悪い話ではない。
実は売り手側の球団にはこれまで以上にメリットがある。昨年3月に施行された労使協定で、開幕ロースターに登録したトッププロスペクトが活躍を続け、オフの新人王投票で上位3人、あるいはMVPかサイ・ヤング賞の投票で上位5人に入れば、FA補償と同様に翌年のドラフトでの追加指名権を与えられるようになった。チーム再建を図る球団にとって、メリットは大きい。
野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏がこう言った。
「エンゼルスが大谷を放出する損失は計り知れませんが、見返りに他球団から複数のトッププロスペクトを獲得できるのであればデメリットばかりとは言い切れません。唯一無二の二刀流を抱えているエ軍にとっては、売り手市場なわけで、トレードを打診してきた球団の足元を見て交換要員である有望株の増員や必要な若手を要求できます。エ軍がチーム再建に舵を切り、マイナー組織の充実を図るのであれば、今回のトレードは絶好の機会といえるでしょう」
■買い手側に回ったエ軍
しかし、エンゼルスは“売り手”側ではなく、”買い手”側に回った。
エ軍は日本時間27日、ホワイトソックスから先発右腕のルーカス・ジオリト(29=6勝6敗、防御率3.79)、救援右腕のレイナルド・ロペス(29=2勝5敗、防御率4.29)を獲得したと発表。ホワイトソックスにはカイ・ブッシュ投手(23)、エドガー・クエロ捕手(20)のマイナー選手2人が移籍する。他にも、ナショナルズの長距離砲ジェイマー・キャンデラリオ(29)と合意間近だという。
この日は米野球専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」が、球団に近い筋からの話として、エ軍が大谷をトレード候補から外したと報道。ペリー・ミナシアンGMら球団首脳陣は、2日間に渡って編成会議を開き、14年以来、9年ぶりのポストシーズン進出に向け、投手陣の補強に動く方針を固めていたという。
エ軍の補強ポイントに合致する両右腕の加入で、大谷が熱望する「ヒリヒリする9月」を目指すことになるが、今回のエ軍の決断は果たして吉と出るか。