オリックス1位・横山聖哉 看護師の父は泣きながら茶碗を抱える息子に「心を鬼にした」
看護師の真さんと真紀さんは共働きで、お互い夜勤は避けられない。真さんは当たり前のように子供たちを風呂に入れたり食事の面倒を見たりと、育児を分担してきたという。
野球のサポートは一家総出で行った。真さんは上田リーグでコーチを始めると、夜勤明けでそのままグラウンドに行くことも珍しくなかった。
「お義父さんも近所に住んでいるから、よく打撃フォームをチェックしてもらいました。家の中ではバドミントンの羽根を打たせ、2人の姉と妻が熱心にトスを上げるのを手伝っていました。私はグラウンドで叱ることもあった分、家で厳しいことは言いませんでした。オンとオフを切り替えて、リラックスしていてほしかったからです」
こう話す真さんが家でも心を鬼にしたのは横山が市立第四中(上田シニア)の3年時。進路はすでに上田西高に決まっていた。
■「親が妥協したらそこで終わり」
「当時は身長170センチほどで、線も細かったんです。本気で高校野球に打ち込むつもりなら体づくりは必須です。本人にもその意志がありました。だから、晩ご飯は米700グラムを食べることをマストにして、最初のうちはしっかりハカリで計測してから与えていました。時には満腹で苦しくて涙ぐみながら、丼を抱えていました。降参? させませんでしたよ。どれだけ心苦しくても親が妥協したらそこで終わりです。一緒に戦っている気持ちで、『自分で決めたことだろう』と、食べさせました」(同)