女性ランナーは「厚底シューズ」に不向き? 専門家が明かす「骨盤」「股関節」「人種」の違い
■女性は骨盤が横に広い
「女性は妊娠、出産に対応するため骨盤が横に広い。男性より筋力が弱いため骨盤の広さで動きを安定させているのですが、骨盤が横に広いことで股関節が使いづらいのです。そもそも厚底ブームを巻き起こしたナイキ社のシューズは、アフリカ系ランナーの身体特性をベースに開発されたもの。彼らは尻の位置が高く、骨盤が前傾している。厚底シューズは内蔵されているカーボンプレートの跳ね返りによる前方への推進力などで速く走れるわけで、女性のアフリカ系ランナーは骨盤の位置からむしろ股関節を使いやすい。ナイキは走力の高いアフリカ系ランナーの身体構造にマッチしたシューズを開発し、好記録を連発することで爆発的なヒットにつなげたのです」
日本記録とはレベルは違うが、女子の世界記録は長らく、ラドクリフが03年ロンドンで出した2時間15分25秒だった。それを更新したのが19年のシカゴ。厚底を履いたコスゲイ(ケニア)が2時間14分4秒をマーク。16年ぶりの世界新が生まれた。
ちなみに、エチオピアのアセファがアディダスの厚底で2時間11分53秒という驚異的な記録を出したのはそれから4年後。昨年のベルリンだった。