京都の怪腕 斉藤和巳をチェックした「選手を丸裸にする指定席」 あえてバックネット裏を避けていた理由
鈴木は斉藤を視察する際、多くのスカウトが陣取るバックネット裏にはいなかった。ドラフト候補を視察する時にいつも使う「指定席」に座っていたからだ。
「一塁側、三塁側のスタンドには、ベンチでの様子がすべて見える席があるんです。目当ての選手がベンチで座っているところから、マウンドの様子まですべてが見える。だからバックネット裏の席はあまり好きじゃなかったですね。僕は選手のクセ、しぐさを見るのが好きなんです。ベンチでは監督の近くにいるのか。試合中は声を出しているのか。チームメートとどう接しているのか。野球道具の扱い方はきちょうめんなのか、大ざっぱなのか。はたまた球場に入るとき、ファウルラインを越えるときはどっちの足から入るか。それで利き足が分かることもある。細かい部分を挙げればキリがないですけど、そうすることで投げた打った以外の性格や人間性も見えてくるんです」
鈴木が投手をチェックする上で重視していたひとつが、足の親指の使い方だった。