関西の逸材を発掘する中で阪神からスカウトされたことがある。移籍していたら「給料は…」
【最終回】
2005年高校生ドラフトで1巡目指名した炭谷銀仁朗は、複数回の交渉を経て、11月中旬に仮契約を結んだ。
「伊東監督は自身の後継者が欲しかった。だから炭谷を一軍キャンプに連れていって英才教育を施し、開幕スタメンに抜擢。炭谷もその期待に応えて、大仕事をやってのけたんですから、立派ですよ」
1年目の06年3月25日、炭谷はオリックスとの開幕戦で、高卒新人捕手として51年ぶりに開幕スタメンを果たすと、同29日のソフトバンク戦では満塁弾を含む2本塁打をマークした。
「それ以降は当たりが止まってしまいましたけど、炭谷は先輩にも恵まれたと思います。私は入団直後に『栗山(巧)についていけば、心配ない』と伝えました。栗山は01年ドラフトで私が担当した選手。ヤンチャなところはありつつも、深夜に黙々とマシンを打ち込んだり、野球に対する姿勢は真摯。聞く耳も持っています。炭谷には、どういう先輩についていけば間違いないか、人を見る目を養って欲しかった。後輩を夜な夜な連れ回して……という選手も、中にはいますから」