中日1位・金丸夢斗 土日も休まず足かけ10年 アマ審判父の「甲子園の道」

公開日: 更新日:

金丸夢斗(中日1位・関西大学・21歳・投手)

子どもの頃を考えると、プロどころか大学でエースになることすら信じられませんでした」

 こう話すのは金丸の父・雄一さん(48)だ。

 母の淳子さん(47)、兄・翔太さん(23)との4人家族。小学1年時に地元・神戸市の広陵少年野球部に入団したが、「体が小さくて、試合で代打に行くのすら嫌がっていました。『僕はいい』と、違う子を指さす。そんな子でした」。

 雄一さんは阪神水道企業団に勤めながら、ボランティアでアマチュア野球の審判を務めている。甲子園大会で試合を裁いた経験も豊富だ。

「夢斗は体こそ小さかったですが、それでも野球が大好き。私が審判をしている姿を何度も見ており、『お父さんが審判をしてる甲子園に行きたい』と。『それなら努力せなあかんぞ』と言って、毎朝、走り込みで体を鍛えさせました。本人にしたら当時は『やらされていた』のでしょうけど、今は『やってよかった』と言っています」

 雄一さんも元高校球児。須磨友が丘高(兵庫)で甲子園を目指したものの、夢はかなわなかった。

高校野球自体は大好きです。何というか、高校野球は人生に置き換えることもできると思う。みんなで夢に向かって頑張るけど、うまくいかないこともある……。人生の縮図みたいなものですね。だから、高校野球に関わる何かをしたかった。そんな時、高野連に連絡したら、『審判はどうだ』と。高校野球に関わる仕事などはさまざまですが、審判は選手と同じグラウンドに立てる。それが24歳の時に大学、社会人を含めたアマ野球の審判になった経緯です」

 雄一さんはすでに淳子さんと結婚していた。野球の試合は土日がほとんど。審判をすれば休日が丸々潰れる。当初は淳子さんも渋々だったという。

「翔太と夢斗が野球をするようになると、『子どもが野球するのに、自分は(別の球場に)審判しに行くの?』と言われました(笑)。妻には『2018年は甲子園が100回大会。そんな記念大会に、翔太は高3、夢斗は高1。僕が審判で、親子3人が甲子園に出られるかもしれない。そこを目指してやりたいんだ』と私の情熱を訴えて、納得してもらいました」

 アマチュアの審判は多忙だ。雄一さんは年間平均およそ70~80試合を裁いた。最も忙しいのは高校野球の夏の地方大会から。兵庫大会で7、8試合、甲子園で7試合を担当したため、仕事を休まざるを得ないこともあった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 2

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  3. 3

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  4. 4

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  5. 5

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  1. 6

    元ソフトバンク「伊奈ゴジラ」の転落人生…淡路島で盗み84件総額472万円、通算5度目の逮捕

  2. 7

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  3. 8

    東洋大姫路・岡田監督が吐露「本当は履正社に再任用で残る予定で、母校に戻るつもりは…」

  4. 9

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 10

    レイズ看板選手「未成年への性的虐待容疑」で逮捕も…ドミニカは殺人も銃撃も「無罪放免」の実態

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」