読書の達人に学ぶ編
いつも同じような本ばかり読んでいる。話題の本を読んでもその内容を活用できない。そんな人は読書の達人の読み方に注目! あの人たちはこんな読み方をしているのだ。
ふと出合った本に感銘を受けたときは、次にどんな本を読むかで、その世界が自分の中に根付くかどうかが決まる。84人が2冊目の本との出合い方を指南してくれるのが、「次の本へ」だ。
例えばノンフィクション作家の鈴木遥氏は、10代半ばから、通るたびにポストの位置が移動している家などを観察していた。
あるとき、自分と同類の赤瀬川原平の「路上観察学入門」に出合う。だが、〈路上の奇跡〉を楽しんでいるだけでは物足りない。そんなモヤモヤを抱えていたときに山と溪谷社の「東海・北陸 小さな町・小さな旅」を読み、人の営みの背後には歴史や文化、風土があると自覚した。そして、街を取材することに興味を持ち、屋根から電信柱が突き出ている不思議な家の秘密を追った作品で作家デビューすることになった。
起業家の和泉法夫氏は、日本IBMの営業マンとしてバリバリ働いていたとき、知人から相田みつをの「にんげんだもの」を贈られた。相田の言葉は、学生時代の純粋な生き方とかけ離れた生活をしていた和泉氏の胸に突き刺さった。次に、闘病・浪人・投獄・左遷を経験した偉人や経営者たちの人生を描いた伊藤肇の「左遷の哲学」を読んだ。相田の本で人間の弱さやつまずきを見つめていたために、実業界のどろどろとした生き方との落差を新鮮に感じたという。