ミドルエージの危機を乗り切る編
近頃では、未婚・離婚にかかわらずシングル男性の介護者も増えている。この場合、孤独という苦しみが加わり、とくに中高年男性は自身のつらさを告白するのが苦手なため、問題は深刻化する。42歳でシングルのYさんは、母親が認知症を発症したことを機に仕事を退職。母一人子一人で育ったYさんは、介護施設を頼ることをどうしても決断できなかったという。やがて、介護疲れから母親に暴力をふるい、自身も自殺未遂を起こすまで追い詰められた。
そんなYさんを救ったのが、介護者の自助グループへの参加だった。近年では男性介護者グループも広がりつつあり、2009年に設立された「男性介護ネット」は全国の100団体、個人700人が会員となっている。介護の現実は変わらなくても、同じ悩みを共有する仲間と学び合うことで救われる介護者は多い。とくに男性は、ひとりで悩みを抱え込むのは厳禁だ。
(講談社 880円+税)
■「男をこじらせる前に」湯山玲子著
高度経済成長を支えた社会システムの変化や女性の社会進出によって、男性には生きにくい世の中になった。しかし、我々は嘆いてばかりはいられない。“強く男らしく”というよろいを脱ぎ捨て、新たな男の生きる道を探るべきだと本書は叱咤する。