海外小説を読む楽しみ編

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 国籍が異なれば、当然、感性も異なる。そんな物事や人生を捉える視線の違いを味わえることも海外文学を読む楽しみのひとつだ。今回はカナダ、イタリア、オーストラリア、フランス、イギリスとそれぞれ出身が異なる5人の作家の作品を紹介する。

■「みんなバーに帰る」パトリック・デウィット著、茂木健訳

 主人公の「君」は、ロサンゼルス・ハリウッドの場末のバーで補助スタッフとして働いている。出勤してまずはクレイモアを一杯ひっかけるのが日課の「君」は、毎夜、泥酔状態で車を運転して帰宅するが、パトカーに捕まったことがない。

 愛車の71年型フォードLTDが持つ不思議な力のおかげだと信じている。妻の目を盗み、アスピリンをむさぼるように食い、酒浸りの日々を送りながら、「君」は常連客の相手をする。従業員の大半が、仕事中にコカインをやっているが、就職以来、「君」は一度もやっていない。しかし、ある晩、酒を飲み過ぎた君は、ついにコカインに手を出してしまう。

「シスターズ・ブラザーズ」の著者が、斬新な描写でバーに通う人々の酔態をスケッチしながら、主人公の転落を描いたデビュー作。

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