【失敗ビジネスに学ぶ】ビジネスに失敗はつきもの。とはいえ、いまも悔やまれる大失敗には苦い教訓があふれている。
「切り捨てSONY」清武英利著
17年間で合計6度の人員整理。目標削減数はなんと8万人。天下のソニーに一体なにがあったのか。実はソニーのリストラは井深大・盛田昭夫の創業陣が一線を退いた90年代半ばには始まっていた。やがて「決断できない」上司が増え、ソニーの大企業病があらわになる。当時、ある技術部門の責任者は論争した上司からこういわれたという。
「いいとか悪いとか理屈じゃないんだ。そういう上司を持ったことを運が悪かったと思ってくれ」
こうしてソニーは崩れていった。多くの社員に取材し、大半は実名で登場。ていねいな取材ぶりが天下のソニーの夕景を悲しく際立たせている。(講談社 1600円+税)