【失敗ビジネスに学ぶ】ビジネスに失敗はつきもの。とはいえ、いまも悔やまれる大失敗には苦い教訓があふれている。
「サントリー対キリン」永井隆著
09年、業界を仰天させたのが「キリンとサントリーの経営統合」計画のスクープ。実現すれば売上高3.8兆円で酒類・飲料分野で世界最大になったはず。だがおよそ7カ月後、計画は「文化の違い」を理由に破談。真の理由はサントリーの株のおよそ9割を保有する寿不動産の存在。これはサントリー創業家の資産管理会社で、サントリー側は新会社の株の3分の1を寿不動産が持つことを主張。ここで折り合いをつけられず、同族会社とそうでない企業との「文化の違い」が表面化したわけだ。
サントリーとキリンの業界2強を徹底比較、国内での競合に明け暮れる日本企業と、外から押し寄せるグローバル化の波を浮き彫りにする。(日本経済新聞出版社 1500円+税)