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 江上剛著「最高知『古典』に学ぶ、成功の戦略」(幻冬舎 1200円+税)は、一風変わったビジネス指南書。前出の「孫子」など、2000年以上も前から読み続けられてきた古典と、現代の大企業が選択してきた戦術を照らし合わせながら、ビジネス的な発想力や問題解決能力を磨くためのヒントを探っていく。

 孔子の「論語」には、人を人たらしめるのは「信」であり、政治や人間関係においてもっとも重要なものだと説く「信なくば立たず」という言葉がある。セブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長は、苦労してイトーヨーカ堂などを巨大流通企業に育て上げた人物だが、常々“3つの約束”を大事に経営してきたという。

 それは、仕入れ先への20日締めの現金払いと、従業員の給料を遅配しないこと。そして安心安全な商品を販売することだ。

 これらは、仕入れ先や従業員、そして顧客への「信」を貫くという経営方針の表れといえる。昨今の日本は株主重視経営に傾きつつあるが、多くの投資ファンドは目先の利益を確保することがもっとも大きな行動原理であり、日本的経営とは衝突する。安定した経営を続けるには「信」を重視した経営が重要であり、それが結果として株主の利益につながると心得るべきと本書。

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