知性主義の回復の芽を感じる希望の書
では、どうすれば官僚による国家支配が一方的に進むのを防ぐことができるのか。マルクスが「国家」を「社会」の外にあるものとして考えたならば、また「社会」のほうを強化すればいいじゃないか、と著者は考える。それはつまり、中間団体、大学、メディア、市民ネットワークなどの強化である。
繰り返すが、本書は著者のほかの本と同じように初心者向けの啓蒙書であるが、その内容は充実している。スマホでニュースのヘッドラインを読むようなわけにはいかない。しかし、その佐藤氏の著作がことごとくベストセラーとなる状況に私は知性主義の回復の芽を感じ、希望を見いだしているのである。(にんげん出版 920円+税)