「ゼロ以下の死」C・J・ボックス著 野口百合子訳
シリーズものの新刊は、全作を読んでないと手に取りにくい。いや、全作でなくても、少なくても数作は読んでないと、途中からは読みにくい。話の展開がわからないんじゃないか、と思っても仕方がない。しかし待ってくれ。本書は猟区管理官ジョー・ピケットを主人公とするシリーズの第8作なのだが、これまでの作品をまったく読んでなくても大丈夫なのだ。安心して手に取られたい。
本書はシリーズ第2作「凍える森」の後日譚なのだが、そんなことは知らなくても全然かまわない。これが面白ければ「凍える森」にさかのぼればいい。そしてこの2冊が面白ければ、残りの6作をゆっくり読めばいい。なぜそれを勧めるかというと、このシリーズ、これからがぜん面白くなるのだ。いまから読み始めることをぜひお勧めしたい。
次女として里子に迎えた少女エイプリルは6年前に死んだはずなのだが、その彼女から連絡が来る、という衝撃的な冒頭から本書は幕を開ける。しかも彼女は、連続殺人鬼に捕まっているらしいとわかってくる。かくてジョーの懸命の捜索が始まることになるが――という話で、感動的なラストまで一気読みの傑作だ。いやあ、面白いぞ。