【殺人事件報道】人が人を殺める――。この究極の行為の底に横たわる人生の不可思議と社会への批判を見よ。

公開日: 更新日:

「殺人犯との対話」小野一光著

「戦場から風俗まで」を掲げて数々のルポをものしてきたフリーライターの著者。本書は取材で知った10人の殺人犯に獄中で面会し、関係者にも取材した記録。

 11年前、福岡で暴力団組長が家族ぐるみで起こした殺人事件では次男に徹底取材し、敵視と罵倒を浴びながらも次第にその人間性に迫っていく。取り調べの刑事たちに歯向かいながら最後に涙を流して自白したこと、最高裁で死刑が確定した後の著者との最後の面会。対話を通して人間性を深く掘り下げる独自のスタイルが、冷酷な殺人者の凶暴さと人懐こさの不思議な共存を生き生きと描き出す。(文藝春秋 1450円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」