「真田幸村 家康をもっとも追いつめた男」河合敦著
絶大な人気を誇る戦国武将・真田幸村だが、確かな記録に基づいてその生涯を描いたら原稿用紙10枚程度で事足りてしまうほどの記録しか残っていないという。彼が歴史上に名をはせたのは、大坂冬の陣から夏の陣までのわずか半年間に過ぎないからだ。
では、なぜ幸村がこれほど現代人の心を魅了するのか。著者は「その死にざまの見事さに尽きる」という。
なぜ勝てないとわかっていながら家康の誘いを断り、最後まで豊臣方で戦ったのか、なぜ家康の本陣に絶望的な突撃を繰り返したのか。――慶長20(1615)年5月7日の壮絶な最後の一日をはじめ、真田家の血脈や関ケ原での心理戦など、人間・幸村の素顔を浮き彫りにしながら、その行動原理を読み解く。(小学館 760円+税)