「スペース金融道」宮内悠介著
「二番街」は人類が最初に移住した太陽系外の惑星の通称だ。〈ぼく〉はここで、新生金融の債権回収担当者として仕事をしている。仕事だから、核融合炉内だろうと零下190度の惑星だろうと取り立てに行く。
大手が相手にしないアンドロイドにも貸しているが、最近、変な事件があった。借金返済が不能になったアンドロイドが、別のアンドロイドを拉致して人格を転写し、元の体に入水自殺するようプログラムして証拠隠滅したのだ。しかも同じ手口の事件が、1年後に10光年以上離れた恒星系で起きている。模倣犯だとしたら、情報が光速を超えた速さで伝わったことになる。
奇想天外なSFコメディー。(河出書房新社 1600円+税)