往年の名鉄道車両がずらり
「電車の顔図鑑2 国鉄時代の鉄道車両」江口明夫著
あの「きかんしゃトーマス」ならずとも、乗り物の先頭部分は総じて、「顔」に見える。その鉄道車両の「顔」部分であるフロントビューを精緻なイラストで紹介する図鑑。
前作ではJR各社の現役車両を網羅したが、シリーズ第2弾となる本書では、懐かしい国鉄時代の名車の数々が登場する。
新幹線も、いまはさまざまな車種があるが、国鉄時代に製造された車両はわずか3形式だけ。
東海道新幹線開業時(1964年)に用意されたお馴染みの「0系」と、その後継車両「100系」、そして1982年開業の東北・上越新幹線用に製造された「200系」だ。
いずれももう現役では使われていない車両。
0系の「鼻」部分にあたるあの特徴的な前頭部は初期車ではアクリル樹脂製で前照灯とともに光ったなどの解説を読んでいると、未来感に満ちていた現役時代の姿が懐かしく思い出されてくる。
国鉄時代、天皇陛下がご乗車された新幹線の臨時列車は、先頭部のスカートに白いVマークが入るなど、識別のための塗装が施されたという。そんな珍しい0系車両から、0系登場前の「新幹線試験電車1000系」などの試作車まで網羅。
さらに保線や非常時の救援用に製造された専用のディーゼル機関車「911系」など、新幹線を支える縁の下の力持ち車両なども紹介され、マニア心がくすぐられる。
その他、クリーム色の車体に側面から伸びた4本の赤い帯でお馴染みの「151系・161系・181系」などの特急形電車をはじめ、「103系」などの通勤形電車、そして機関車や郵便・荷物車まで、往年の名車が一堂に会する。
最近は、幼児の鉄道ファン「子鉄」も急増していると聞く。親子で楽しむのにもってこいの図鑑だ。
(山と溪谷社 1600円+税)