サラリーマン力を高める本特集

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「GREAT BOSSシリコンバレー式ずけずけ言う力」キム・スコット著 関美和訳

 新しい部下ができたり、新しいプロジェクトを任せられたりと、ビジネス環境も変わる新年度。今回は、「本音力」から「謝罪力」まで、今こそ磨きたいサラリーマン力を紹介する4冊をピックアップした。デキるビジネスマンならぜひ身に付けておきたい。



 部下に配慮をし過ぎて、正しく指導できないと悩むビジネスマンは多い。本書では、アップルやグーグルの管理職研修プログラムを手掛けてきた著者が、“よい上司”となるためのメソッドを紹介。キーワードとなるのは、「徹底的なホンネ」だ。部下との信頼関係をつくることはなかなか難しい。しかし、人対人として相手を①「心から気にかけること」と、②「言いにくいことをズバリと言うこと」を組み合わせれば、それは一歩前進するという。

 ところが一方が欠けると③「イヤミな攻撃」、または④「過剰な配慮」になってしまう。そしてどちらもできなければ「摩擦の回避」となる。これは単なる保身に過ぎず、そんな上司を部下は信頼することはない。だが、両方を同時に行うことができれば、それは「徹底的なホンネ」となり、上司の言葉も部下の心に届くと本書。

 この4つのパターンを頭に入れておくと、自分の行動の是非が見えてくる。シンプルな例を挙げると、部下の女性のスカートのファスナーが開いていた場合だ。言いにくいけれど心から相手を思えば、「素早くズバリと、かつ小声で教えてやる」のが最善の策だ。受けを狙い大声で言えば「イヤミな攻撃」になり、恥ずかしがると可哀想だと教えないのは「過剰な配慮」となる。そしてセクハラと思われたくないばかりに教えてやらないのは「摩擦の回避」。どの行動が正しいか一目瞭然だ。

 快適な職場環境づくりにも役立つ「徹底的なホンネ」が言える力。明日からでも実践してみては。

(東洋経済新報社 1800円+税)

「謝罪力」竹中功著

 数多くの謝罪会見があった2018年。あなたの会社もいつ何時、その立場になるか分からない。本書では避難訓練のように、謝罪訓練もしておくべきと説いている。

 まず大切なのは「リスクの見える化」。100枚の付箋を用意して、会社のリスクを100個書き出してみよう。これができないと、いざという時に「想定外の出来事で……」と情けない謝罪会見に終始しかねない。想定外を想定することこそが危機管理だ。

 そして、リスクを書いた付箋をランダムに選び、実際に謝罪訓練をしてみる。部署間の連携や弁護士探しなどを実際にやってみるのだ。この訓練を行うことで、いかに自分たちが無防備な状態であるかが分かるはず。炎上した謝罪会見をもとに、正しい謝罪シナリオの作り方も伝授する。

(日経BP社 1500円+税)

「大人の語彙力ノート」齋藤孝著

 とても腹が立った時の慣用句で正しいのは、A「怒り心頭に発する」、B「怒り心頭に達する」のどちらだろうか。

 正解は、Aだ。Bと間違えそうだが、「心頭」は心、「発する」は外に現れ出るという意味で、怒りが心にとどめられなくなる状況を指している。

 日本人の語彙力は低下傾向にあるといわれる中、正しい日本語を使いこなせるビジネスマンは、それだけで大きな武器となる。本書では、間違いやすい日本語をクイズ形式で紹介している。

 入院していた上司が全快し、退院した時に贈るお祝いは、A「快気祝い」、B「退院祝い」、C「お見舞い」のどれが正しいか。正解は、B。Aは入院していた本人が見舞ってくれた人に贈る品物のことだ。退院後も自宅療養が続く時にはCでもいいが、全快したのならBがベストだ。

(SBクリエイティブ 1300円+税)

「悲観する力」森博嗣著

 日本には「悲観」を嫌う文化がある。それを象徴するのが「縁起」であり、悲観に関連するような事象や言葉を忌み嫌う。

 しかし、ビジネスの現場ではむしろ悲観することが重要だ。悲観とは「物事は予測や予定通りには運ばない」と考えること。どんなエラーが発生しそうかを徹底的に考えることは、安全性を高めてリスクを減らすことにもつながる。

 悲観の仕方は、物事を疑うことが基本となる。具体的には、決まり事が絶対ではないと肝に銘じる、見込める効果を小さめに評価する、都合の悪い事態ほど優先して考えることなどが挙げられる。

 このような思考を習慣づければ、冷静さが身に付き、対応力も磨かれる。

 行き過ぎたポジティブシンキングの弊害を解説しながら、“悲観力”の磨き方を教えてくれる。

(幻冬舎 800円+税)

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