「『下半身の冷え』が老化の原因だった」 石原結實著
年齢とともに下半身の筋肉量が減少すると、血流も衰えて下半身に冷えを感じるようになる。体温の30%を作り出している下半身の冷えは、全身の体温にも影響を及ぼす。ウイルスや細菌から体を守る免疫力は、体温が1度下がると30%も低下するため、感染症にかかりやすくなったり、体温35度でもっとも増殖するがん細胞が増えるリスクも高まる。下半身に冷えを感じるようになったら、それは老化のサインであり、病気の危険度が高まっていることにもなるわけだ。
筋トレやウオーキングで筋肉量を維持することが不可欠だが、本書では食生活の見直しも大切だと説いている。漢方医学では、下半身の衰えや冷えによる諸症状を「腎虚」という。腎とは腎臓を指すだけではなく、アドレナリンやコルチゾールなど生命維持に必須のホルモンを分泌する副腎や、排泄のための泌尿器、子宮や睾丸といった生殖器も含まれている。そして人間の下半身に相似する根菜類を取ることが、腎を強化するためには重要だとされている。
実際、根菜類は体を温め腎に有効な成分が豊富だ。例えば、ヤマイモに含まれるジアスターゼやカタラーゼなどの諸酵素は栄養素の吸収率を高め、ネバネバの主成分であるムチンが滋養強壮効果を発揮して副腎を元気にしてくれる。また、ゴボウに含まれるイヌリンは腎臓の働きを高めて、排尿をよくする作用などがあるという。
一方、白米や白砂糖、豆腐、レタスやキュウリといった色の薄い葉野菜は体を冷やす食物であり、取り過ぎると下半身の冷えを悪化させる。年齢とともにこれらの食品はできるだけ避け、体を温める食物を多く取るよう心がけたい。
(青春出版社 920円+税)