「60歳からはじめる『のどピコ体操』」 高牧康著
アンチエイジングといえば、脳トレや足腰の衰えを防ぐ運動が真っ先に思い浮かぶが、“のど”に注目している人はどれだけいるだろうか。
口から食べておいしいと感じる幸せは、人間の生きる基本。万が一寝たきりになっても、食べる喜びは最後まで保ち続けていたいものだ。そのためにも、のどのアンチエイジングでのみ込む力を維持し続けることは、体のどの部位を鍛えるよりも重要と言える。本書では、のどのフレイル(衰え)を招く原因を解説しながら、のどの鍛錬に役立つさまざまなエクササイズを紹介している。
定年退職したり子供が巣立つなどして、会話の機会が減少してしまう中高年は少なくない。のどのフレイルの主な原因は、声を出さなくなることにある。年齢を重ねるほど、日々の生活の中で意識して声を出すことを心がける必要がある。
試しに、出しやすい声の高さで「あー」と長く発声してみよう。男性で15秒、女性で12秒以上声を出し続けられない場合、声帯の萎縮が始まっており、のみ込む力も衰えている可能性が高いという。口を開けたときに奥に見える口蓋垂、本書では“のどピコ”と呼ぶいわゆるのどちんこが、収縮して後ろに反り返るような状態になると、のど全体の筋肉が使われ、鍛えられていることになる。
例えば、「赤パジャマ、青パジャマ、昼間のパパ邪魔」という早口言葉を裏声で読んでみよう。裏声発生は地声発生よりものどの運動量が多く、のどピコも反り返る。またパ行とマ行はのどピコの上下運動を活発にする作用がある。
ほかにも、「チッ」という舌打ちで三三七拍子をするのも、舌を鍛えてのみ込む力の強化に役立つという。のどのフレイル予防を習慣づけよう。
(PHP研究所 1200円+税)